はじめに

話題のASCどう設定すればいいのかわからない…



既存の広告手法に限界を感じ、何か新しい打ち手を見つけたい
こんな課題感はありませんか?
もしあなたが今、このような壁に直面しているなら、この記事はまさにそのためのものです。
Facebook(Meta)のAdvantage+ Shopping Campaigns(ASC)は、Meta社が提供するAIの力で広告運用をほぼ自動化し、これまでの常識を覆す成果をもたらす可能性を秘めた、今最も注目すべき手法です。
この記事では、ASCの基本からメリット・デメリット、リアルな事例、導入ステップまでを網羅的に、分かりやすく解説します。
読み終える頃には、ASCの全体像を理解し、自社の広告戦略を次のステージへ進めるための具体的なアクションプランを描けるはずです。
ASCとは「AIに全面的に任せる」広告。これまでの常識が変わる


Meta Advantage+ Shopping Campaigns(以下、ASC)とは、一言でいえば「広告運用の大部分を、優秀なAIアシスタントに任せる」という新しい考え方です。
これまで担当者が多くの時間を費やしてきた細かい設定作業をMetaの強力な機械学習が肩代わりし、担当者はより戦略的で創造的な業務に集中できます。
特にEコマースビジネスにとって、広告運用の手間を削減しつつ、コンバージョンの最大化を目指せる点が大きな特徴です。
AIが最適化する「3つの自動化」
ASCの核心は、以下の3要素をAIが自動で最適化する点にあります。
- オーディエンス(誰に届けるか)の自動化
- 年齢・興味関心などを細かく設定する必要はありません。ASCは、あなたのサイトデータなどを基に、新規・既存を問わず最も購入見込みの高いユーザー層をAIが自動で探し出し、アプローチします。
- クリエイティブ(何を見せるか)の自動化
- 最大150種類の広告クリエイティブ(画像、動画、テキスト)を入稿すれば、AIがユーザー一人ひとりに合わせ、最も効果的な組み合わせを自動でテスト・配信します。人間では不可能な規模と速度の最適化です。
- 予算と配信面(どう届けるか)の自動化
- キャンペーン全体の予算を設定するだけで、AIがリアルタイムで成果を分析し、最もパフォーマンスの良い広告や配信面に自動で予算を重点配分します。これにより広告費用対効果(ROAS)を最大化します。
従来のキャンペーンでは詳細な手動設定が必要でしたが、ASCではMetaのAIがこれらを自動最適化し、マーケターは戦略的業務に集中できます。
なぜ今、ASCが重要なのか? – 広告運用自動化の最前線
デジタル広告でAI活用が急速に進む背景には以下の要因があります。
- プライバシー保護強化の流れ
- ATTポリシーなどにより従来のターゲティングが制限される中、AIによる広範なユーザーからの見込み客発見とパーソナライズ広告の重要性が増しています。ASCはこの課題に対応します。
- 増え続けるデータの複雑性
- 膨大かつ複雑なユーザー行動データをAIが効率的に処理し、人では気づけないパターンを発見して広告効果を最大化します。
- ビジネスの効率化とスピード向上
- ASCのような自動化ツールは運用工数を削減し、マーケターがより戦略的な業務に集中できるよう支援します。
従来の手動キャンペーンとの決定的な違い
従来手法とASCの最も大きな違いは「広告担当者の役割の変化」です。
項目 | 従来 | ASC |
---|---|---|
役割の中心 | 管理・調整 | 戦略を考える |
ターゲティング | 手動で詳細に設定 | ほぼ自動(AIが最適化) |
主な作業 | 日々の数値管理、入札調整 | 戦略立案、多様なクリエイティブ制作 |
ASCの登場で、担当者は煩雑な「管理」から解放され、「どんなメッセージを伝えるか」といった、より本質的な業務に時間を使えるようになります。
AIに任せるメリットは絶大。しかし「万能ではない」点に注意


ASCは強力な武器ですが、その特性を理解することが重要です。ここではメリットとデメリットの両面を解説します。
メリット:CPA削減・ROAS向上に直結する理由
- 人知を超えた最適化
- 機械学習が、数百万単位のユーザーデータから瞬時に最適な配信パターンを発見し、成果を飛躍的に向上させます。
- 運用工数の劇的な削減
- 細かい調整作業から解放され、担当者は売上に直結する戦略的な業務にリソースを集中できます。
- クリエイティブの真価を引き出す
- どんなに優れたクリエイティブも、届ける相手を間違えれば無意味です。ASCは、クリエイティブが最も響くユーザーをAIが探し出してくれます。
デメリット:導入前に知るべき「3つの罠」
一方で、その自動化された性質ゆえのデメリットも存在します。
- 詳細なコントロールの喪失
- 「この層にだけ配信したい」といった細かい手動コントロールはできません。AIの判断に委ねる部分が大きく、ブランドイメージの管理が難しくなる場合があります。
- AIのブラックボックス化
- 「なぜこの広告が効いたのか」という詳細なインサイトを得ることが困難です。成果は出ても、成功要因を深く分析しにくい側面があります。
- クリエイティブへの依存
- AIのパフォーマンスは、与えられるクリエイティブの「量と質」に大きく左右されます。質の低い、あるいはバリエーションの少ないクリエイティブしか用意できなければ、AIは十分に学習できず、成果が悪化する可能性があります。
【事例で解説】ASC広告は本当に効果があるのか?
実際の数値データに基づいた成功事例を基に、ASC広告の効果を解説します。
- Monos(旅行かばんブランド)
- ASCを利用したキャンペーンは、従来の手法に比べて購入単価が58%減少し、広告費用対効果(ROAS)は35%増加しました。
- Jenny Bird(女性向けジュエリーブランド)
- 通常のキャンペーンとASCを併用したところ、通常キャンペーン単独の場合と比較して購入単価が14%低下し、コンバージョンは17%増加しました。
- Princess Polly(オンラインファッション小売)
- ASCを活用したことで、購入単価が12%低下し、10倍の投資収益率(ROI)を達成しました。
出典: How AI is Powering Marketing Success and Business Growth (Meta公式ニュース)
出典: “It feels like a golden era of advertising again”: An insider’s look at how Meta’s AI ad tools improve ad performance – AdNews
ご覧いただいた通り、CPAの大幅な改善やROASの向上といった具体的な数値が、ASC広告の効果を明確に物語っています。
ASC導入で失敗しないための3ステップと運用のコツ


では、どうすればASC導入で成功することができるのでしょうか。重要な3つのステップを解説します。
ステップ1:データ連携の確認(PixelとCAPI)
ASCのAIにとって、データは最も重要な「栄養源」です。ウェブサイト上のユーザー行動を計測する「Meta Pixel」と、より正確なデータを送信する「コンバージョンAPI(CAPI)」の両方を正しく設定することが不可欠です。データが不正確では、AIは正しい判断ができません。
ステップ2:クリエイティブの「量と質」を確保する
クリエイティブはASCの成否を分ける最大の要素です。AIに多様な選択肢を与え、学習を促進させましょう。
- 最低10本以上のクリエイティブを用意する
- 静止画、動画、カルーセルなど異なるフォーマットを組み合わせます。
- 多様な訴求軸を試す
- 価格、機能性、利用シーンなど、様々な角度からのクリエイティブを用意します。
- 定期的に入れ替える
- 1〜2週間に1回は新しいクリエイティブを追加・入れ替えし、広告の鮮度を保つことが推奨されます。
ステップ3:AIの学習期間は「我慢」が肝心
ASCは、開始直後から最高のパフォーマンスを発揮するわけではありません。
AIが最適な配信パターンを見つけ出すまでに「学習期間」が必要です。この期間は成果が不安定になりがちですが、焦って頻繁に設定を変更するのは逆効果です。AIの学習を妨げてしまいます。
一般的に、1週間で50件程度のコンバージョンが発生するくらいの予算を確保し、学習が完了するまでは辛抱強く見守る姿勢が重要です。
【上級者向け】ASCの効果を最大化するBid Multipliersとは?


ASCは、AIによる広範な自動化で優れた成果をもたらしますが、一方で「特に価値の高い特定の顧客層に、より強くアプローチしたい」という戦略的なニーズが生まれることもあります。
この課題を解決するのが、Bid Multipliers(ビッドマルチプライヤー:入札乗数)という機能です。
これは、ASCのキャンペーン内で年齢、性別、地域、デバイスといった特定のオーディエンスセグメントに対し、人の手で入札の比重を調整できる、いわば「AIの自動運転に、熟練ドライバーの知見を加える」ような機能です。
例えば、
- LTV(顧客生涯価値)が特に高いことが分かっている30代女性の入札を強化する
- コンバージョン率の高いInstagramへの配信比重を高める
といった戦略的な調整を、キャンペーンを複雑に枝分かれさせることなく、一つのキャンペーン内でスマートに実現できます。
ご利用について
現在、このBid Multipliers機能は、Meta社の承認を受けた一部の代理店を通じてのみ利用できる限定的なものとなっています。
Bid Multipliersを活用し、お客様のビジネスに合わせたより高度な広告最適化にご興味がありましたら、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。
Bid Multipliersについて詳しくは下記をご確認ください。


まとめ


本記事では、MetaのAdvantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)について解説しました。
AIによる自動化で成果を出すASC広告は、もはやMeta広告運用の主流です。 この記事で解説されている通り、ASC広告の活用はCPA改善の重要な一歩です。ご自身で導入し、その効果を試すことが欠かせません。
しかし、ただ導入するだけでは効果が出ない、と感じている方も多いのではないでしょうか。
例えば、AIの学習効果を最大化するクリエイティブの知見がなく、期待した成果に繋がらない。これでは、本来の目的であるビジネスの成長に集中しづらいと感じるのも、無理はありません。
こういったASC特有の悩みや対応策に振り回されず、根本的に成果を出しやすい優遇アカウントを使って運用業務に集中したくないですか?


- ASCの成果を最大化し、安定した広告配信で売上を伸ばしたい!
- 認定代理店のみが使える優遇機能を活用して、競合に差をつけたい!
- 媒体担当者と連携し、AI学習に最適化されたクリエイティブでCPAをさらに改善したい!
fugatoではこれらのお悩みにお応えする広告アカウントをご提供しております。
よくある質問(Q&A)
- GoogleのP-MAXとは何が違う?
-
AIによる自動化広告という点で似ていますが、得意な領域が異なります。
- Meta ASC: SNS上で潜在的なニーズを掘り起こし、「需要を創り出す」のが得意です。
- Google P-MAX: 検索など明確な意図を持つユーザーにアプローチし、「需要を獲得する」のが得意です。
- 両者をうまく使い分けることで、マーケティングファネル全体を効果的にカバーできます。
- 予算はいくらから始められますか?
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明確な最低額はありませんが、AIが学習するためには一定のコンバージョン数が必要です。
一つの目安として「目標CPA × 50件 ÷ 7日間」で1日あたりの推奨予算を算出する方法があります。
まずはこの考え方を基に、テスト予算を組むのが良いでしょう。 - 最新のアップデート(2025年6月〜)で何が変わった?
-
いくつかの変更がありました。
名称が「Advantage+ セールスキャンペーン」という枠組みに統合されつつあり、オーディエンス設定などで一部手動コントロールが可能になるなど、柔軟性が向上しています。
参考文献
[1] Meta for Business. 「Advantage+ Shopping Campaigns」.https://www.facebook.com/business/help/329996955613010
[2] Meta Business Suite ヘルプセンター. 「Metaピクセルについて」. https://www.facebook.com/business/help/742478679120153
[3] Meta Business Suite ヘルプセンター. 「Advantage+ カタログ広告のクリエイティブに関する推奨事項」https://www.facebook.com/business/help/453301142106060
[4] Meta for Business. 「Advantage+ Shopping Campaigns and how they work with your existing ads」. https://www.facebook.com/business/learn/lessons/advantage-plus-shopping-campaigns-existing-ads